JKMAX経営論

JKMAXにおいて損得勘定のみで行動する事は正しいか




JKMAXで働く上の行動基準は

自分にとって得か

のみ。

そう考えて行動し、周囲にもそれが当たり前だと吹聴していた。

例えば、上記でツイートした「支店への移籍or出勤」について。

JKMAX池袋店だけでなく、秋葉原・横浜・新宿…など、JKMAXの支店へ自由に出勤が出来る事は、キャストの選択肢が広まる。

JKMAX池袋の文化が合わなかったり、出勤しやすいエリアだったり、そちらの方が稼げるなら、どこのエリアでも自由に出勤するべき。つまり、自分にとって得をする環境を選べば良い。

秋葉原店に在籍した方が自分にとって得をするならそうすれば良いし、池袋店に在籍した方が得をするならそうすれば良い。横浜店に出勤して得をするならそうすれば良いし、しない方が得をするならそうすれば良い。


2名の例

現在、秋葉原店に最も出勤しているみれあさんは、元々は池袋店で面接したキャストだった。

もしみれあさんが池袋店に居たとしても、2~3度出勤しただけで消えていただろう。JKMAX池袋の文化が合わないからだ。しかし、秋葉原店では5回以上出勤が出来ている。池袋店で出勤を継続するよりも、稼げている事は間違いない。

横浜店で店番兼キャストをする可能性があるまどれーぬさんについて。

まどれーぬさんは池袋店に約1年在籍した。そこそこ活躍し、人気キャストの花形コースであるロングお散歩もご予約頂いていた。不人気キャストでこそ無かったが、池袋店の和気あいあいとした空気を嫌う文化や、超人気キャスト達がズラリと揃っている『完成された店』のプレッシャーに押しつぶされていた感はある。しかしながら、店番のバルさんとは楽しくコミュニケーションが取れているので、バルさんが完全監修する横浜店でのびのびと過ごし、稼ぐ方がまどれーぬさんにとっては得。

このように、各キャストが自分にとって得をする選択を続けてほしい。


シリコンバレー

自分にとって得をする選択を各個人が選択する集団がJKMAXという組織であり、そんな組織のモデルとなった場所がある。

それが、シリコンバレー。

シリコンバレーはその自由さの反面、経営者も社員も私利私欲で動いている人が多いのも事実。

多くのシリコンバレーの会社では、なんの前触れもなくレイオフが起こる。レイオフとは、会社の業績が悪くなった時や会社の合併などに伴い、複数の社員を一斉に半永久的に解雇することだ。イーロン・マスク氏によるTwitter社員の半数、約3,700人がレイオフされたというニュースも記憶に新しい。

JKMAXもかつてはこれに倣い、ルール違反が噂されるキャスト、文化に合わないキャスト、害のあるキャストを「一斉戦力外」していた。今思えばキャストに恨みを買う恐れが高いこの手法は、リスクでしかない。辞めて頂きたいキャストには顧客を回さず、緩やかにフェードアウトして貰うに限る。

話をシリコンバレーに戻す。ある日唐突に会社を解雇される可能性が常にあるシリコンバレー企業の社員たちは、会社に対する忠誠心は希薄で、自分に少しでも高いお給料やポジションをオファーしてくれる会社が見つかればさっさと移っていく。まさにリフレ業界に生息するリフレ嬢そのものだ。彼女たちは、お金のために地方へ出稼ぎに行ったり、ソープや他リフレ店を掛け持ちする。つまり彼女たちはJKMAXだけに在籍する事が得ではない。その一方で、JKMAXだけに在籍する事で得をするキャストも居る。

シリコンバレーの社員たちは「それは自分にとって得か、損か」という観点でいろいろな物事を判断する習慣が身に付いていた。そして「なるべく楽をして成果を上げたい、上司が見ていないところでは手を抜いて、見ているところでは努力をアピールする」という損得勘定丸出しの生き方をしてしまいがちだ。

これらの行動は、リフレ嬢と酷似している。規制や摘発などでいつどうなるか分からない環境、そして若い今しかできないバイト。損得勘定だけを考え、短期決戦になるのも仕方ない。1ヵ月後に稼げるかもしれない100万円より、今日貰える10万円の方が彼女たちにとっては得だろう。


稲盛和夫

シリコンバレーの社員は、いざ自分で会社を始めても従業員をうまくまとめられない。自分が昔自分の上司の目を盗んでは怠けたりしていたのを思い出し、従業員もきっとそうなのだろうと疑ってしまう。これでは良好な信頼関係が築けるわけがない。ましてや一人ひとりの能力をうまく引き出すこともできなかった。

かの有名な実業家である稲盛和夫さんが社員に伝え続けるたった1つのこと。

それは

「絶対に損得勘定で判断するな」

ということだ。

JKMAXの考えと真反対である。そしてシリコンバレーとも。

JKMAXの文化に慣れていると「損得勘定で判断しなかったら、一体何を基準に判断せよというのか」と思うだろう。

その答えが、「私はこの4文字で経営してきました」と稲盛さんをして言わしめた

「敬天愛人」

である。

「天を敬い人を愛する」という稲盛さんが敬愛した西郷隆盛さんの言葉だ。「人には愛情を注ぐ。けれども判断をする時は、天がOKを出してくれる、天が喜んでくれる判断をせよ」という意味である。

得度されたお坊さんでもあった稲盛さんは、天、宇宙、神といった言葉を使って、社員や塾生に人間を超えた偉大な力の話をよくされていた。「誰も見ていなくてもお天道様が見ている」という昔から日本に伝わる教えに基づいて、「リーダーたるもの周囲に安易に迎合するのではなく、お天道様が喜ぶ判断をせよ。そうすることで長期的に会社は発展していく」というのが稲盛さんの経営哲学だった。稲盛さんが「敬天愛人」をベースに下した英断でビジネスがうまくいった例は枚挙にいとまがない。

その1つが、経営破綻したJALの再建を打診された時の話だ。当初、稲盛さんの周りの人はみんな大反対したという。もしも再建に失敗したら、稲盛さんの晩節を汚すことになると、周りの人は心配した。そんな心配をよそに、2010年2月1日、会社更生法適用申請から2週間後に会長に就任。わずか2年でV字回復させ、みごと再建を成し遂げた。

当時稲盛さんは、78歳。既に2つも立派な会社を育てたのだから、損得勘定で判断すれば、悠々自適に老後を楽しんだ方がよかったはずだ。けれども稲盛さんは、「航空会社というのは日本の経済にとってとても重要な業界で、それがANAの一社独占になっては、日本の経済に打撃を与える。良い競争を保つためにもJALの再生は必須だ」と考えて、引き受けることにした。

そこには、失敗したら自分の晩節を汚すことになるという損得勘定はなかった。ただ、「もし天が見ているとしたら、自分にどうしてほしいだろう」という視点で決断を下した。

「損得勘定」で物事を判断していれば、一時的には目覚ましい発展を遂げても、長い目で見ると没落してしまう。「敬天愛人」で判断することで企業を長期的に安定して成長させることができる。


稲盛和夫

「儲けたい」の一心で立ち上げた会社が2、3年で消滅。大企業でさえ、社員や幹部の不正により一瞬の内に潰れてしまう。それと同じく、「稼ぎたい」だけでリフレ店に来たキャストが2、3回の出勤で飛んだり、オーナーの油断により店舗が摘発。実際にそんな例を業界で何度も見た。

そして、JKMAXの売上が伸び悩んでいるのは、桑田が損得勘定で物事を判断している事が要因。

例えば、キャストを損得勘定でしか見ていない。会社に売上を出してくれるキャスト、自分とウマの合うキャスト、在籍してくれて自分が得をするキャストのみを大切にしている。「天がいつも自分を見ているとしてどんな働き方をしたら喜んでもらえるだろう」という視点で自分自身が仕事に取り組むようになったら、キャストの定着率も出勤数もサービスに対するモチベーションも変わるだろう。

自分が損得勘定なしに、つまり裏表なしに一生懸命仕事をし始めたら、キャストもそうなるに違いない。キャストを信頼して、良好な関係を築き、キャストの能力を最大限に引き出すことが自然と出来る事が理想。

この「敬天愛人」で判断するという稲盛さんの教えは、自己肯定感にも大きな影響を与えるはずだ。


自己肯定感を上げ下げする4大要因

自己肯定感を上げ下げする4大要因を「他人からの評価」「他人との比較における自己評価」「成功と失敗」「不測の事態」と定義し、その対処法について考察する。

この4大要因にいかに振り回されず、確固たる自己肯定感を持つことができるか。

損得勘定で動いていたら、この4大要因に振り回されるだろう。

他人の評価に一喜一憂し、人と比べては自分の評価を上げたり下げたり。何かに成功すれば自己評価が上がり、失敗すれば下がる。そして予期せぬ出来事が起こると、「どうして私が」と不満を抱える。しかし、稲盛さんの哲学を学べば、この4大要因を全て手放すことができる。

1.他人からの評価
まず、何かを決める時、人にどう評価されるかを気にして判断するのではなく、「もし天が見ているとしたら私にどうしてほしいだろう、私がどんな決断を下したら天は喜んでくれるだろう」という観点で考えることを習慣化する。自分は常に天にOKを出してもらえる決断、行動をしているという自負がある。だから、自分が下した判断を他人が評価してくれればもちろんうれしいが、評価してくれなくても落ち込むことはない。「また会いたい」と思える接客を継続できているならば、必ず結果はついてくる。店からの評価、顧客からの評価、キャストからの評価、一切気にしない。

2.他人との比較における自己評価
稲盛さんは「才能を私物化するな」という言葉を使って、「我々一人一人にはなんらかの才能があり、それを世のために使え、私利私欲で出し惜しみするな」と解いている。私には私にしかできない天から与えられた才能がある。私がすべきことはそれを最大限世のお役に立てることだ。そう考えて自分にできることを出し惜しみなく行動に移そう。他人と比較して自己肯定感が下がることはなくなる。何故、ゆうりさんのようにゴージャスなお散歩が出来ないのか、何故他のキャストには回転が回っているのに自分には回転が回ってこないのか。自分と他人を比べて他人に合って自分に無いものを悔やみ自己評価を下げても意味が無い。自分にはある才能をとことん伸ばそう。自分の才能が見つからないならJKMAXに関わる全員で見つけよう。それが結果として全員の得に繋がる。

3.成功と失敗
また、損得勘定で考える成功や失敗と、敬天愛人がベースの成功や失敗は180度異なる。損得勘定で考える成功は自分がすぐに得をすることだが、自分のことしか考えていないので視野が狭い。一見得をしているように見えるが、その先にあるさまざまな障害が見えていないので、長期的には失敗に終わりやすい。例えば、キャストとのオプション代を誤魔化したとする。一時的には小銭が浮いて得をしたように思えるが、その顧客のデータには「盗賊」と書かれるだろう。そんな顧客が今後、JKMAXで人気キャストに巡り合えるだろうか、JKMAXを利用できるだろうか。一方で天が考える成功は、なるべく多くの人に恩恵をもたらすことだ。目先の利益に心を奪われることなく、天が喜ぶ成功を意識すると、視座が高くなり、結果としてより良い判断ができる。これを理解して実践するようになってからは損得ベースでの成功失敗に一喜一憂することはなくなり、本当の意味での成功を手に入れることが出来る。

4.不測の事態
不測の事態は私たちにも時折降り掛かってきた。例えば、JKMAXを7年間経営している間に2度訴えられたことがある。以前の私なら慌てふためき、損か得かという狭い視野でしか判断できなかったが、敬天愛人で物事を判断できるようになっていた私は、極めて冷静に対処することができた。何があろうと「トラブルと遊べ」精神で乗り切ろう。この業界はそれがルールだ。

稲盛氏が提唱する「絶対にやってはいけない」たった1つのこと、「損得勘定で生きること」をこんな業界に揉まれていながらもやめる事が出来たならば、仕事が好転し、何事にも振り回されることのない自己肯定感を手に入れることができるかもしれない。

-JKMAX経営論